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ガダルカナル 思い出の味

最後の晩餐に食べたいもの。今まで食べてきた中で一番思い出に残っているもの。ポピュラーな話題。美味しいとか凄い味だった、ゲテモノだったなどとはちょっと感覚が外れるが、僕の場合はガダルカナル島で食べたヤシガニのスープだ。大学時代は南米民俗音楽の演奏に明け暮れ、いまはカレー屋を営んでいるから、さぞかし初めての独り旅はインドか南米諸国かと思われているだろうが、実は太平洋の小さな「ソロモン諸島」が最初だ。地理的にはオーストラリアの右端、ガダルカナル島という名前の方が日本人には覚えられているかもしれない。当時、大学院のダメ学生だった僕は論文を書くためにソロモン諸島に3ケ月ほど調査滞在をすることになった。成田を出発し、韓国、オーストラリアを経由してソロモン諸島の首都ホニアラについた。首都は第二次世界大戦の激戦区ガダルカナル島にある。そこからさらに小さな
セスナ機で調査地であるニュージョージア島のノロという人工の漁港街に渡るのだが、まず現地の教育省の許可をもらうためにホニアラに滞在した。日本にいるときに本来なら手はずを整えるはずの調査許可だが、出発前に研究室からファクスを何度も送っても全く返事がなく、現地で取るしかないと諦めて、長期滞在ビザもないまま、とりあえずソロモン諸島に来てしまったのだ。オーストラリアからセスナ機に乗りガダルカナル島についたのは師走の頃だった。教会が運営する小さなゲストハウスに宿を定め、教育省に出かけては調査ビザの取得交渉をしていた。朝飯はパンとフルーツ、昼飯は近くの港でおばちゃん達がビニールシートに広げて売っているフィッシュアンドチップスを良く食べた。と言っても英国風ではなく、チップスは薩摩芋、フィッシュは鰹、そこに細いネギが添えられているソロモン風だ。途中で飽きてゲストハウスで自炊を始めたのだが、ある日の夜、ゲストハウスの管理人でもある教会の神父さんが夕食を作ってくれた。丼の中に蟹的なもの?がゴロンと丸々一匹入っていた。甲殻類の出汁が良く出ていて美味しい。神父さんにこれは何の生き物か尋ねると、ヤシガニだという。そしてソロモン諸島の人々はヤシガニを食べないけどね、と笑いながら、説明してくれた。彼らはヤシガニは死んだ人の生まれ変わりだと信じているんだよ、と。僕は箸が止まった。おぼろげな記憶だが、親戚の集まりの時僕の母方の祖父はガダルカナル島でWWⅡを戦い、敗戦し、帰国したと聞いていた。歴史の授業でもガダルカナル島の激しい戦いは何となく覚えていた。日本兵およそ22493名、米兵6842名の合計29000名近くの兵士が戦死している。僕はいつどこで亡くなった誰の生まれ変わりを「美味しい」と思いながら、食べたのだろう。情報だけでしかなかったガダルカナルの戦い、その傷跡は調査地に向かう途中のボートから何度も目にすることができた。大砲だか戦車だか分からないが兵器の残骸があちらこちらに60年以上経った当時も残っていた。それらを見るたびに、僕は誰の生まれ変わりを食べてしまったのだろう、と思うのだった。

六地蔵の話

毎朝野菜の仕入れに若宮大路沿いの八百屋に向かう途中、由比ガ浜通りにも六地蔵が立っており、いつも挨拶して通り過ぎるのですが、ふと今朝六地蔵の下を見ると長財布が落ちており、拾いました。拾ったのはいいが、さてと、ちょっとばかり悩みました。朝9時9分。開店準備して営業してカレー仕込みと片付けしたら店しめられるのは23時過ぎ。それから交番に届けるには時間が空き過ぎる。落とし主も長い時間不安なのもかわいそうだが、朝おまわりさんに届ける時間的余裕はこちらもまるでなし。バイクで巡回してるおまわりさんに会わないかな、早く財布渡したいなと思いながら八百屋で野菜をカゴに入れレジで会計をしていた時、ふと自転車でやってきた男性が、自転車を留め、近づいてきた。私の隣のレジのおばちゃんに「すいません、財布落ちてませんでしたか?」と聞くではありませんか。ピンときた私は、どんな財布ですかと聞くと、まさに六地蔵の前で拾った財布。レジのおばちゃんはやだ〜鳥肌立っちゃった、とビックリしていました。私も交番に届ける手間が省け、落とし主も財布が戻り、六地蔵さんも業務?の人助けをし、みなハッピーな一日のはじまり。グッドタイミングって有るのですね。極楽カリー

嬉しいことふたつ

開店当時からのある御一家でいらっしゃるお客様。一番最初に来店されたとき、旦那さんはかなり恰幅のよいスタイル。それが来店される度にシェイプアップされ、しばらくぶりに来店されたら素晴らしくスリムになられていて、最初別人かと思ったほど。後ほど奥様に伺うと一年半で計画的に40キロ痩せ、食生活も自宅メインでほとんど外食しなくなり、禁煙、暴飲暴食を止め、性格も180度変わり、穏やかになったそう。そんな変化の中、変わらず極楽カリーにご来店、誠にありがとうございます。また、別の嬉しいこと。幼稚園のお子様とよく来店される御両親のお客様。そのお子様のおばあちゃまも連れて来店して下さいました。親子三代で極楽カリーを楽しんでいただけた、とても嬉しいことです。率直に申し上げますと、今度はひいおばあちゃまも連れて来たい、とのこと。親子4代はまだ未踏、ご来店お待ちしております。つつがなく1日の営業が終わり、シンクに 山積みになった皿を洗いながらその日あったことを振り返る。心に残る嬉しいことあると、こんな猛暑のさらに酷暑な厨房内でも、寒くもないのに、ジワジワと鳥肌が立ってきます。極楽カリー