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黒い蝶のこと

2016年4月のお話

妻の自転車カゴについていたイモ虫を救出し、自宅でさなぎになり7ヶ月経過、無事羽化しました。これまで地面にいる蝶は、老いて飛べなくなったものとばかり思い込んでいましたが、羽化したてで、羽根を乾かす若蝶もまた、きちんと飛べるまで、地面でもそもそ歩くことを学びました。もし道路に落ちた蝶を見かけたら、どうか木の葉や茂みに救出してあげて下さいね、これから羽ばたき生を謳歌する蝶かもしれません。 昔昆虫採取で蝶の標本作りに狂ったことへの贖罪もあるのですが、ある時バスの中で聞いた話が、印象的で蝶を助けた訳です。 初老の女性ふたりが、おしゃべりしていたのですが、毎年母の命日あたりに、季節外れの蝶が現れて自分の身体にとまったり、こちらの言葉を理解しているかのような動きを見せる。という話。 世界各地で、死者の魂、輪廻転生のシンボルとされている蝶。誰かのご先祖さんが、子孫に会いにくるために、蝶となる、と夢想すると、お花畑に飛び交う蝶たちのランデブーを見たり、人を怖がらなかった沖縄久高島の蝶の群れに会ったこと、そして今回の羽化観察は、生死の境を越える魂を垣間見れた良き体験であります。