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原風景ブレードランナー横浜チャイナタウン

こんなにも長雨が続くと思いだすのは映画「ブレードランナー」。冒頭のシーン、ハリソンフォード演じる主役が屋台でうどんを英語で頼み、アジア系の親父が日本語でそれに返事をしている。映画の舞台は2019年ロスアンゼルス。日本で例えるなら秋葉原と歌舞伎町と中華街、渋谷がまぜこぜになったような近未来の街で物語がはじまる。一番好きという表現は適切ではない。一番記憶に刻まれている映画。現実世界では横浜のチャイナタウン。中国語が飛び交い、冬は肉饅を蒸す水蒸気が立ち込め、ゴールドとチャイニーズレッドでけばけばしく彩られた建物が並び、ジージーと音を立てるネオンサイン、細く暗い路地に思いもかけない店があったりする。小さい頃、台湾小路(だったと思う)のとある店で親戚が集まって中華を食べた記憶はいまだにある。それから30年近くが経った。横浜の伊勢佐木町、夏の夕方。タイ、フィリピン、台湾、中国、ネパール、ロシア、コロンビア、ベトナム、イラン、トルコ、多種多様な言葉が通りに置かれたベンチや植え込みで夕涼みをする人々から溢れる。グダンガラムの煙草の紫煙、牛バラ煮込みに潜むスターアニスが僕に流れる先祖の血を目覚めさせる。エジプトの人形使いが十字軍の物語をアラビア語で朗々と歌い、少し歩けば印度料理屋の香辛料に誘われ、裏路地をさまよえば、生ゴミの饐えた匂いとオンボロバイクの排気ガスの匂いが混じり、亜細亜の生鮮マーケット、中東のグランドバザールはたまた南米のメルカドをさまよっているかのようなデジャビュ。僕はどこに来てしまったのだろうという自失の安心感、根無し草には影法師の友。そんなこんなが混ぜこぜになり、極楽の原風景に。