食べること曼荼羅
食べることはとても個人的なことだと思っています。巷にあふれる無数の健康法、食養生、健康食品、民間療法。アーユルベーダ、陰陽五行、医食同源、玄米菜食絶食療法。さらには雑食、マクロビ、菜食(ベジタリアン)、厳格菜食(ビーガン)、肉食、魚食(ペスカトリアン)、断食、不食(プラーナを摂る息食ブレサリアン)などの食に対する主義。豚を食べないイスラム教やユダヤ教。ユダヤ教は牡蠣海老蛸烏賊も禁じている。牛を食べないヒンドウー教。ジャイナ教は厳格に肉食を禁じ、バラモン階級も菜食主義。宗教による食のタブー。京都祇園祭の時期は氏子たちは胡瓜を食べない。またことを成し遂げるため、酒断ちや鰻断ちなど、あえて自分の好物を食べない事を神様と約束したりもする。果ては性癖にまでおよびスカトロジーにたどり着く場合もある。生物としての進化、多様な環境への適応しながらの狩猟採集から農耕への拡大、文化や宗教、身分(社会階級制)やタブーの発生、現代ではでは環境問題、動物愛護が絡んだイデオロギー、(肉食即癌?菜食短命?などジャッジし難い噂、諸説あふれる)健康へのアプローチ、(農薬、添加物や栄養の乏しい加工品?)食品産業や外食産業の問題点。お酒のアルコールや牛乳のたんぱく質を先祖代々消化できない、といった生物また民族遺伝学的に食べたほうが良い物、避けるべき物が決まっている点。品種改良、遺伝子操作が遠因ではないかとウワサされる食物アレルギー、、、。生物学的には動物は肉食か草食のみ。雑食は環境による獲得食物の制限から発生した。「食べること」をどの視点で語るかだけでも目が回りそうになるほどたくさんのテーマがある。
冒頭に述べたように食は極めて個人的な事で大前提として他人に対してどうこう指図したりされたりするものではないと思ってます。そこをわきまえなければ容易く「炎上」したり、違う食習慣の者同士で簡単に摩擦が生まれる。
何をどう食べたら良いのか?この問いへの特別な答えは無い。根拠は無いが実感があるので最近の私は昔っから語られる「気が向いたら旬のものを」「適当に身土不二」「ふと思い出したら、おじいちゃんおばあちゃんが、親が、家族が、昔っからよく食べてきたもの」「なんとなく毎日食べても飽きないもの」をゆるーく「ぼちぼち」ほどほどに。腹八分で食休み、などを目安に、肉野菜魚区別なく食べています。
逆にこう食べたら悪い、と思うこと。過ぎたるは及ばざるが如しで、こうでなければダメ、これは身体に悪い、不味い、そう思いながら食べることがもっとも身体に良くないと思います。添加物、農薬、加工品、大量生産だって初めは悪意から産み出されたものでは無いと思う。戦後の貧しさ食糧難を乗り越える知恵が発端、開発者たちは自らが体験した餓えを次の世代には味わって欲しくなかった強い願いも込められているのでは。自分の主義に合わないものを忌み嫌う、(最近では放射能汚染かな)、嫌だな疑いの眼差しや気持ちで食べることが一番の気の毒で、物そのものが持っている毒性を自分の意識で100倍1000倍の毒にしてしまっているような気がします。そして心もち。先日カナダの肉料理を出すレストランにビーガンが動物虐待を叫ぶ抗議運動を1週間店の前で行い営業妨害をしたニュースを耳にしました。気の毒です。釈尊は肉食を禁じず、時薬(薬膳)とされていました。肉を食べるときに生じるアナンダミドは、幸福感の源であります。しかし不要になったニワトリの雛を熱湯で殺処分したニュース、某国では年老いて売れなくなった牛を山の崖にショベルカーで何十頭もつき落とす事件がリークされています。見渡す限りのトウモロコシ畑の空を、虫を殺す農薬を降り注ぐドローンがまるで虫のように飛ぶ現代。日本はじめ「豊かな国の」食糧廃棄とアフリカやアジアの飢餓。食ベることは矛盾と悲しみで一杯でもあります。
しかし食べなければ生きていけない。作ることは捨てること。動物だろうが植物だろうが、その生命活動を殺し、そのいのちのエネルギーをいただいて人間は生きられる。生きることは殺すこと、表裏一体。牛や豚、鶏や羊をこの世に生み出した存在(神様?)だって、人間が食べることを赦されているはず。出されたものを有り難く、みんなで「美味しいね」とニコニコ笑いながら食べられたら最高ですね。笑いは祓い、気の毒など吹き飛んでしまうでしょう。お寺の多い京都で見かけた素敵な言葉がありました。『このいのちをいただきます』。
参考文献『おいしさの人類史』『食と健康の一億年史』「明るいチベット医学』『ヒトはおかしな肉食動物』『健康問答ー平成の養生訓』 『お釈迦様の薬箱』『がんが自然に治る生き方』『ワイル博士の医食同源』『食は運命を左右する』『シュタイナー健康と食事』『無病法』『神々の食べ物』『土と内臓』『インドの生命医学アーユルヴェーダ』『ワイル博士のナチュラルメディスン』『ブルーゾーン世界の100歳人に学ぶ健康と長寿のルール』『マンガで分かる西式甲田療法』『食べない人たち「不食が人を健康にする」』