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占い師

「占い師」

私の元に依頼人G氏がやってきた。鑑定内容はビジネスについでだ。電話で聞いた話ではG氏はスパイスを使った特殊な料理を出す店を営んでいたが何故か突然、将来その料理を火星に送る妄想に取り憑かれ未来の行方を確かめてほしいとのことだった。まず星の配置を見ると折しも地球に火星が大接近しておりその無意識への影響が想定された。私の得意分野は未来を占うこと。人生の分岐点において選んだ道そして選ばなかった道どちらの未来も見通すことができる。依頼人の聞きたい内容も全部説明してもらわずとも分かる。依頼人の頭から煙のようなものが湧き出ておりそこに心に強く思っていることが映し出される様が私の第3の目を通してみえるのだ。G氏の頭からもありありと「煙」が出ていた。私はタロットカードをテーブルに並べ、シャッフルし始めた。誰にも説明したことがなかったが、実はこの作業が霊風を起こして「煙」をはらい、曇ってみえにくかった未来という名の本人の願望を鮮明にしてくれるのだ。願望は闇の中の光のごとく夢をかたちにするエネルギー源だから未来の雛形や種として丁寧にあつかえば良い。占いは当てるのではなく願望を現実化する道標とすれば良いのだ。G氏の将来にやってくる分岐点、そしてその後の展望さらにもっと遠い未来もカードに表れた。はたして火星というキーワードは実に曲者だった。G氏は自分が狂人となることを避けるためにさりげなく笑いながら「妄想な気がする」と前置きしたがテーブルに揃ったタロットカードは黙して雄弁であった。私はG氏の目をみて語りはじめた。
「宇宙食、火星にカレー、いいですね。貴方の中で、まだ芽が出たばかりで詳細まではみえませんが実現します。今人類はSNSと人工知能を通じて大きな組織によって選別されていますが貴方は選ばれてカレーを作る役目を負います。火星へ行こうとしているNASAやもっと大きな組織の実験棟、ちょうど壁一面銀色に覆われた部屋で貴方がカレー作っているのがみえます。レトルトやフリーズドライではない新技術それは何か空気を操作して長期保存できる食品加工技術のようですね。ただ今お店で出されているチキンカレーじゃないです。彼らからこれこれの材料で作れと命令されてしぶしぶ作っています。貴方はそれにかなり不満を抱いています。他の人はともかく貴方は頑固ではっきり物言う方だから彼らと喧嘩してお役御免になりますね。その後宇宙への意識から立ち戻ってとても地球的なことをはじめますね。だいたい○○歳からです。彼らに貴方が選ばれるのは何もあなたが優秀だからではなく、彼ら、もっというと白い肌の社会にとって有効なものを世に生み出すため、だからですね。彼らの狙いはほかの人種の根絶やしです。火星移住は数百年計画してきていることの一部です。彼らが頑張ってもほかの人種、特に日本人は特別な遺伝子を持つから生き残ります。彼らが火星に行っても、うまく計画が進むかはわかりませんよ。だって火星の先住民族に挨拶もしなければならないですし共生の許可がおりるかどうかも分からないですから。西暦2100年代、特定の人種が優遇されほかは根絶された地球の未来に何が起こるか。今度は宇宙人がやってきて、それまでの白人種vsほかの人種の歴史が、次は白人種VS宇宙人種になります。そして白人種がやってきたようなことを今度は宇宙人種が白人種に行うようになります。貴方が火星にカレーを送ること、彼らとの協力を選んだ未来では日本人やほかの人種の子孫は滅ぼされようとしています。宇宙食カレー自体は良い未来の発芽となるでしょう。だから彼らとでははなく日本人と協力して宇宙食を開発したほうが良いのかもしれません。日本人は日本人を助けてくれますから」。じっと耳を傾けていたG氏は話を聞き終わる眉間に皺を寄せたまま静かに目を閉じ一呼吸おいて私に問いかけた。「怖いですね、カレーひとつでそんな未来になるのですか?信じられない」私はG氏の気持ちをなだめるように答えた。「当たるも八卦当たらぬも八卦。ただ昔から言うではありませんか。食べ物のうらみは恐ろしいと。まあご安心ください、貴方は後味の良い、いやむしろまるで食べなかったかの如く後味が消えてしまうようなカレー作りをなさればどんな未来であってもだいじょぶですよ」。